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Posted by TI-DA at

2017年10月14日

燕三条・工場の祭典レポ03 「日野浦刃物工房」

燕三条・工場の祭典レポ03
「日野浦刃物工房」


バスツアー3件目は「日野浦刃物工房」さん、唯一ここだけは行く前からチェックしていました。
ここでは3代目・司さんと4代目・睦さん、父と子の関係がとても気になったからです。
また、「誇りを持っていい仕事をして、ちゃんと食べていくことが出来る世の中にしたい」と考えている自分はいろいろ話を聞いてみたいと思っていました。

※右から左へ、長方形の塊から鉈へ、包丁へ形を変えていきます。

日本のものづくりは素晴らしい技術と伝統があるのに、大量生産や時代の流れからどんどん無くなっていく、自分の周りでも廃業の話はいろんなところから聞こえてきます。


案内は4代目の睦さん、ちなみに彼は銀髪&ピアスのイケメンです。
薄暗い工場の中にところ狭しと並んでいる数々の機械、ほとんどは譲ってもらったものだそう。

長方形の鉄の板から少しずつ形が変わって、鉈・包丁になっていくという説明を受けながら実際にハンマーを打って頂きました。
手袋はしているものの、Tシャツにジーパンですが、飛び散る火花は大丈夫なのかちょっとドキドキ。
更に隣のスプリングハンマーでリズム良く打ち込み、少しずつ変わっていく形。リズム感無い人には無理な仕事ですね、きっと。
水で濡らした藁(ワラ)を使いながら打っていくのも印象的でした。

※ハンマーで叩くと火花が飛び散る!

少し前に斉藤工業さん・マルト長谷川工作所さんと、工業化された工場を見ていたので本当に不思議な気持ちになります。
3代目・司さんは周りが工業化を進て行く中、良い刃物を作る為に金属顕微鏡を使ったり「冶金学(やきんがく)」という学術を基に日夜研究、
そして伝統を守ることを決めたとのこと、やっぱり品質が全然違ったのです。

ちなみに革縫製の業界でもいろいろと刃物や金属にお世話になっていますが、ドイツの技術はスゴイと聞かされます。
例えば、革を薄く漉く機械の刃やミシンの針は日本製に比べ断然ドイツ製が良いとか、鋳物時代のミシンは一年寝かせたものから更に歪みを調整して作るとか…
でもそんなドイツさえ時代と共に鍛冶を捨てています。
復活させようとしても一度無くなったものは戻そうとしても出来ない、という司さんの言葉が突き刺さりました。
そして息子さんが鍛冶を継ぐと決めた時にどう思ったのかをお伺いしたところ困っていました、きっといろんな気持ちがあるだろうな、でも父なら物凄く嬉しいはず。

対して息子の睦さんは最初から継ぐことを決めていたようです。
小さいころから工場で働く父親の後姿を見てカッコいいと思っていたのかと思っていたのですが、実は小さい時から工場はうるさくて入らなかったとか。
でも逆に大人になってから入ることになったのは良かったのかもしれないとも言っていました。
彼の凄いところは考えがとっても柔軟、女性が鍛冶をやってもいいんじゃないかって思っている。


※後ろに並ぶ刻印の数々、歴史を感じます。

そして工場の祭典のように一般の人が見学にくるのはウェルカムで、技術を盗まれるかもしれないことについては、
それで世の中イイもの作れるようになるのが増えるのであれば全然かまわない、なんて中身もイケメンでした。
後から知ったことですが実は彼、第2回工場の祭典の実行委員長をしていいます、凄い!
先見の目を持ち研究重ねる父 そして熱い志をもった息子、本当にカッコよかったです!  

Posted by カッテーくん at 12:00Comments(0)レポート

2017年10月12日

三条・工場の祭典レポ02  「マルト長谷川工作所」

燕三条・工場の祭典レポ02
「マルト長谷川工作所」

バスツアー2件目は「マルト長谷川工作所」さん、ペンチ・ニッパー・爪切りなどを製造しています。
「KEIBA」というブランドをもっていますが、プラモデルを作る方には良く知られているかもしれません。


※こちらの工場は写真禁止でしたのでイメージ写真はブックレットから。

マルトさんは新潟に初めて鍛造マシン・スプリングハンマーを導入しており、外にはそのハンマーが祭られて(?)おりました。
しかしこのハンマーの親玉みたいな巨大なのが近くで稼働しており、大地を揺るがしておりました(軽く地震起こしてますよ)

燕三条では大きな工場は少ないと聞いていますが、ここは多分かなり大きい工場だと思います。
従業員の方は120人以上おり、かなりの生産力があると思いますが、そのうち50%以上が海外に輸出されています。
こちらの工場も効率化・管理が半端ないです。
どんな作業をしているのか、ひとつどれくらいの時間で作るのか、管理者は誰なのか、そんなことも一発で分かるようになっています。
また、女性の姿も多く見られました。
製造タイムを競うこともしており、実は一番の方は女性なんだとか。

ちょっと面白かったのですが、重厚な機械の中に水槽コーナーがあり、お魚さんたち(この地域に生息)が工場を癒してくれてました。
張り詰めた空間だけど、これがあるだけで随分変わりますよね。
今回の工場の祭典では出来るだけ沢山の方にお話を聞きたかったのですが、黙々と作業している方たちにもお話を聞いてみたかったな。

ちなみにコチラでは通常も工場見学が出来るようです(要申込)
そんな訳で、あっという間に時間が来てしまいマルトさんを後にしました。  

Posted by カッテーくん at 10:48Comments(0)レポート

2017年10月11日

燕三条・工場の祭典レポ1 「斎藤工業」

燕三条・工場の祭典レポ1
「斎藤工業」

このイベントは新潟県燕三条地域とその周辺地域にある103のKOUBA(工場・耕場・購場)が参加しています。
初日一番、バスツアーに参加しました。


ちなみに公式のバスツアーは4日間×午前・午後に分かれており合計12で全て内容が異なります。
僕はその中の「継承される技術」に参加しました。
ちなみに平日だったからか参加されたほとんどが製造に係っている方でした。



バスツアーの良いところはガイドさん視点の解説があり、予備知識があまりなくても燕三条の歴史や工場の裏話が聞けるところ。
また目的地に着くと案内者がいて直ぐに回れ、質問も出来きます。


最初に到着したのは斉藤工業さんで、斉藤会長直々に案内して頂きました。
斉藤工業さんはスプーンやフォークなどのカトラリーを製造しており、現在は主にユーザーに合わせて変形するような福祉用食器に力を入れています。


工場は綺麗に整頓され皆さん黙々とお仕事をされていました。
ごつくてカッコいい機械が高速で動き、次々に出てくるスプーンにスゴイ!スゴイ!とついつい口に出してしまいます。
そして何が何だかよくわからない構造の機械もある程度は自前で直せる設備があるとか、凄いですよね。



斉藤工業さんの凄いのが、いろんな工夫をして通常の生産量より遥かに多く製造できるということ。
どうすれば効率良く出来るのか、もちろん会長さんのアイデアもありますが 皆と話し合う機会を設け突き詰めていくことをしているようです。
また一度病気をされた会長さんは健康が一番と考えており、生活習慣病にならないように社員さんにアドバイスもしています。


機械の近くは物凄い音で一部インカムの声が聞こえづらかったのと、もっとお話を聞きたかったのですが時間がなかったのが少し残念でしたが、通常あんな間近では見れない機械を見ることが出来てとっても面白かったです。

  

Posted by カッテーくん at 11:42Comments(0)レポート

2017年10月10日

燕三条・工場の祭典!

新潟の燕三条地域で10/5~10/8に開催された「工場の祭典」に行ってきました。

「誇りをもっていいモノを作って、ちゃんと食べていける世の中にしたい」最近そんなことを思っています。
そしてイベントには何かヒントがあるのではないか、そんなことを考えながら沖縄を出発しました。

※ピンクストライプを見ると工場の祭典を想像してしまう程にこのデザインは印象的でした

恥ずかしながら数ヶ月前までイベント自体知らなかったのですが、ひょんなことから実行委員長だった方、このイベントの監修をした会社・メソッドで重要な役割をした方のお2人が自分の知人だということが分かりました。

※工場の祭典のブックレットの写真がとってもカッコいいのです

そして調べるうちにどうしてこんな凄いイベントが出来るのか、
また 自分とも関わりのある沖縄の工芸にとって、何か面白い事が出来るのではないか、コレは行くしかないっ!!!
そんな訳で2日半燕三条を回ってきたのです。


※斉藤工業の斉藤会長直々に工場を案内

※あっという間にスプーンを作ってしまう機械


最初「工場の祭典」と言われても、僕は何のイベントか最初は分かりませんでした。
このお祭りの開催されている新潟の燕三条という地域、ここはスプーンやフォークなどのカトラリー・包丁やハサミなどの金属加工の産地で、町の至る所に工場があります。
大工場はほとんど無いのですが、中規模から家族経営の小さな工場などが何と1400ほどもあるのです。
しかも世界に誇れる素晴らしい技術がここにある!

※日野浦刃物工房の4代目・睦さんが叩く!

そんな工場の一部を解放し、職人さんの手仕事が見れたり、ワークショップに参加できたりと、工場の中で「作り手」と「エンドユーザー」が繋がることの出来る4日間のイベントがこの工場の祭典なのです。
しかも参加しているのが「工場・耕場・購場」の3タイプのKOUBAが合わせて103ヶ所!
何故5年も続き、参加KOUBAも次々に増え、3万人を超える来場者が来るのか。
作り手の視点・お客さんの視点で探ってみました。
そんな訳でこれから何回かに分けて「工場の祭典」をレポートしたいと思います。


※玉川堂さんでひたすら叩く職人さん  

Posted by カッテーくん at 18:05Comments(0)レポート